ワキ脱毛をすることで、“わきが”が改善されたという声もあれば、脇汗が増えてかえって臭いが気になったという声もあります。実際はどうなのでしょうか?
目次
レーザー脱毛は汗腺に影響することがあります
答えを先に明かしてしまうと、医療レーザー脱毛によって“わきが”は改善され、汗も少なくなる傾向があります。臭汗症の一種であるわきがを治すには専用の治療が必要です。しかし、レーザー脱毛でも多少の改善をみることがあるのは事実です。
反対に、脱毛は汗腺に影響しないと断言するクリニックもありますが、医学的にも断言することはできないと考えるのが自然です。
なぜ、どのようにレーザー脱毛が汗腺に影響するのか?
この理由は、意外とシンプルです。早速、汗が分泌されるメカニズムからみていくことにしましょう。
汗には体温調節の役目がある
そもそも人がたくさん汗をかくのは、主に体温調節をするためです。体温や外気温が高くなると、体温を下げるために汗をかき、皮膚から水分が蒸発するときの気化熱によって実際に温度を下げています。
汗腺は2種! 毛根とつながりがあるものとないもの
汗はどこから発生するかというと、皮膚の汗腺から分泌されます。汗腺には2種類あって、毛穴とつながっている汗腺がアポクリン腺で、毛とは関係なく存在する汗腺がエクリン腺です。
もうお分りかもしれませんが、レーザー脱毛が影響する汗腺というのもこのアポクリン腺です。毛根とアポクリン腺がつながっているため、レーザーで毛根にダメージを与えて脱毛する際に、アポクリン腺への影響も皆無ではないと考えられるのです。
アポクリン腺から出る汗は臭う
アポクリン腺とエクリン腺の集中している場所はそれぞれ異なり、臭いとの関連性も大きく違っています。
アポクリン腺のある場所と、わきがとの関係
アポクリン腺は両脇の下や、乳輪、VIO付近などに集中していて、毛穴から分泌されます。その汗は油分が多く、酸化したり雑菌で分解されたりすると悪臭が発生します。臭うのはイヤですが、汗の臭いはいわゆるフェロモンとして機能しているとも言われています。
また、脇汗が原因で臭うわきがは、とくに皮膚や衣類に雑菌が多く繁殖している場合などに、アポクリン腺から出る汗の分解がすすんで悪臭を放つ症状で、臭汗症という病気の一種です。
エクリン腺のある場所と、多汗症との関係
一方、エクリン腺から出る汗は大半が水分でほぼ無臭です。全身および手の平や足の裏に多く存在するほか、両脇の下にもあります。主に体温や外気温が高いときに汗を多く出してクールダウンする役目をしていますが、ストレスを感じたり緊張したりしたときにも発汗します。多汗症の人はこのエクリン腺の発汗が過剰で、普通は汗をかかないような状況でも汗をかいてしまうと言われています。
脱毛でわきがや脇汗が軽減される理由
医療レーザーによって毛根組織が破壊されると、毛は二度と生えてこなくなります。レーザーには黒いメラニンに選択的に反応するという特徴があり、だからこそ皮膚に余計なダメージを与えることなく、毛根を集中的に破壊することができます。けれど同時に、毛根周辺で発生させた熱が毛を伝わって上層部にも届き、しばらくは熱が毛穴の中にこもるのを利用して脱毛効果を高めるメカニズムとなっています。
つまり、毛穴全体が熱ダメージを受けることになるので、そこにつながっているアポクリン腺にも少なからずダメージがあります。
アポクリン腺にダメージを与えて発汗を抑えることができれば、結果的に臭いの減少が期待できます。
ワキ脱毛とわきがを例にとって、詳しく解説します。
もともと脇の下はリンパが集中していて熱を帯びやすい場所ですし、アポクリン腺とエクリン腺の両方から汗をかきやすい場所です。そこに脇毛が密集していると表皮の温度が保たれ熱でムレやすいため、脇汗の量が増えます。また毛の生え際周辺、つまり毛穴には普段から皮脂や汚れがたまりやすく、皮脂が酸化したり、それを栄養源に雑菌が繁殖したりして分解する過程で悪臭が発生するのです。したがってワキ脱毛して毛を無くしたほうが、表皮の温度が下がって汗の量が減るとともに、毛穴も汚れや雑菌が溜まりにくくなるので、わきがの改善が見込めます。
レーザー脱毛で汗の量や臭いが改善されたケースには、こうした理由があるのです。
脱毛で脇汗が増えたように感じるのは錯覚
一方、ワキ脱毛をすることで脇汗が増えているように感じる理由は、ワキ脱毛をすることでムダ毛に汗が溜まることがなくなるからです。腋毛のストッパー的役割がなくなって汗が流れやすくなり、汗が増えたと錯覚してしまいがちです。
ただ、すべての事象が医学的に解明されていないのも事実で、なかには脱毛後に脇汗の量が増えている人も、少数ですが存在します。
そのときは、確実な制汗効果が得られるボトックス注射を選択することも可能です。ボトックス注射は、多汗症の治療にも用いられている比較的手軽な方法で、1度注射すると普通は約1週間後に汗が止まり、約4〜5ヶ月間効果が持続します。そう聞くと、一時的にしか効果がないんだ…とがっかりするかもしれませんが、一時的でも数ヶ月間、汗や臭いの心配から解放される効果は大きいです。そうしたストレスが減ることの効果については、次で説明していきましょう。
脇汗のストレスで汗や臭いが増えることも
レーザー脱毛により腋毛が無くなると、汗が垂れて増えたように感じる傾向はありますが、汗の量が実際に増えることはほとんどありません。
しかし汗が増えることへの不安から、「私、臭くないかな?」と必要以上に思ってしまうことがあります。身だしなみの清潔さに気を配ることは良いことですが、気にしすぎると緊張やストレスが高まり、脇汗を増やしてしまうことがあります。
汗を気にしすぎないことが大切
多汗症の原因ともなるエクリン腺の発汗には、自律神経の一つである交感神経が深くかかわっています。交感神経は緊張状態になると、冷や汗を出すように命令を出し、心臓のドキドキや不安感なども引き起こします。
こうしたストレスによる汗はふつうの汗と違い、濃度がギュッと凝縮されているため、臭い成分も多いという説があります。全身にあるエクリン腺からの汗が増えると、とくにアポクリン腺が集中する両脇の下や、乳輪、VIO付近などの湿度が高くなって雑菌が増え、臭いがきつくなるパターンも多いです。汗が増えたという勘違いがストレスになり、汗の臭いをきつくするという悪循環がはじまる…こんなことがないように、気持ちを大らかにしてストレスを減らしましょう。
自律神経のバランスを保つ心がけも有効
でも精神的な緊張は、自分ではコントロールしにくいものですよね。人前で発表するときや会議でのプレゼン、初対面の人に接するときなどは誰でも緊張するもので、汗が吹き出てくるのを抑えるのは難しいかもしれません。
でも慢性的な緊張感やストレスは、心がけで改善できる場合があります。たとえば、不規則な食生活と睡眠を繰り返すと、自律神経の興奮状態が続きやすくなります。ストレスがあっても自律神経が乱れる原因になり発汗に影響しますので、趣味や運動などで発散することも必要です。
脇汗や臭いを抑えるコツ
世の中には優れた制汗グッズやデオドラント製品も多数ありますので、汗をかいたらそのつど対応すると、ある程度割り切ってもよいでしょう。
基本的な対策方法としては、汗を感じたらこまめにふき取ることです。脇汗用のデオドラントシートを常に携帯して外出先でも使うと、普通の汗や臭いなら防ぐことは十分可能です。
その臭い、もしや衣類から臭っているかも?
そして盲点となりやすいのが、汗が臭うよりも洋服が臭っている場合があるということ。洗濯後も衣類の臭いが取れないことは結構多く、皮脂が酸化した臭いや生乾きの臭いが染みついていて、それが体温で温められてモワモワ〜ンと周囲に拡散してしまうのです。
このような衣類のイヤな臭いは、上から花の香りをつけても隠すことはできません。根本的な原因である汚れや菌をしっかりと落とすために、酵素入りの洗濯用洗剤や衣類用の漂白剤などを利用して、つけ置き洗いをすると効果的です。
臭い対策にレーザー脱毛がおすすめのワケ
レーザー脱毛自体はわきがの治療法にはなりませんが、皮膚を清潔に保つ効果は高いというメリットがあります。わきがや、VIOのすそわきがは、とくに皮膚を清潔に保つことが臭いの軽減につながります。
また、臭い対策の際に毛があると、どうしても汗や汚れを拭き取りにくく蒸れやすいため、同じことをしても汗や臭いを抑える効果が下がってしまいます。
永久脱毛することで汗と臭いへの対策がグッとやりやすくなりますから、汗や臭いを気にする人にこそ医療レーザー脱毛をおすすめしたいです。