脱毛が原因で起こる毛嚢炎(もうのうえん)と治療方法

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    • 脱毛全般
    • 公開日: 2016.03.10
    • 更新日: 2024.10.21

脱毛が原因で起こる毛嚢炎と治療方法

脱毛や除毛にはどうしても肌荒れのリスクがあります。その一つが毛嚢炎(もうのうえん)です。レーザー脱毛でも毛嚢炎はできてしまうのか? 詳しい原因や適切な治療方法をご紹介します。

毛嚢炎とは? ニキビとの違いは?

毛嚢炎(毛包炎とも)とは、ニキビのようなブツブツが肌に現れる皮膚炎です。脱毛などで肌が痛んで弱くなると、毛穴の奥の毛包に雑菌が感染して毛嚢炎が起きやすくなります。見た目はニキビの小型版のようですが、厳密に言うとニキビとイコールではありません。ニキビの定義はもう少し広く、そのなかには毛嚢炎も含まれるのですが、別の症状である白っぽい膿が毛穴に詰まった状態も含まれます。

毛嚢炎には炎症の強いものとそうでないものがある

毛嚢炎には炎症が強いものと、細菌感染の要素が強いものがあります。

前者は男性のヒゲ脱毛後に発症しやすいです。深剃りしてしまったときのカミソ負けなども炎症が強いタイプの毛嚢炎で、赤くなりヒリヒリとした痛みを表皮に感じますが、実際は表皮だけでなく毛穴の奥の毛包にまでダメージが及んだ状態となります。

一方、女性がかかりやすい毛嚢炎が、炎症は少ないけれど毛包が菌に感染してしまっていて、肌にプツプツが出来るタイプです。赤みが少なく、ほとんどの場合は痛みや痒みもほぼありません。

女性の毛嚢炎ができやすい場所

毛嚢炎は、脱毛や除毛などで毛包がちょっと傷ついただけで起きやすくなります。毛包に感染する雑菌の種類は、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌で、基本的には、皮脂が多く分泌されるところや、ムダ毛が濃くてムレやすい=雑菌が繁殖しやすい部分にできると言われています。

毛嚢炎ができやすい具体的な場所は、おでこ、背中、ワキ、膝小僧、太もも、ふくらはぎ、VIOです。言われてみれば、太ももやふくらはぎにプツプツがある…と思い当たりませんか? ニキビとはちょっと違うプツプツ、それが毛嚢炎です。

医療レーザー脱毛で毛嚢炎ができてしまう理由

脱毛や除毛をすると、肌や毛穴はなにかしらダメージを受けます。カミソリや毛抜きといった自己処理ではより負担が大きくなり、毛嚢炎のリスクも高まりますが、医療レーザーや光脱毛なら毛嚢炎のリスクが全くないというわけではありません。

肌のバリア機能低下が毛嚢炎の原因に

クリニックの医療レーザー脱毛は、メラニン色素への反応と熱を利用してムダ毛にダメージを与える仕組みなので、毛根周辺の毛包や表皮にも多少の熱ダメージが残ります。

健康なときは、皮膚にもともといる常在菌がバリア機能の役目をして肌を守ってくれています。そのおかげで肌への刺激にも耐えられるわけですが、レーザーやフラッシュを浴びた肌は一時的にバリア機能が下がりやすいのです。すると、普段はさほど悪さをしないブドウ球菌がダメージを受けた毛包に入り込んできて、毛嚢炎を引き起こしてしまいます。

毛嚢炎は比較的誰にでも起こりやすいものです。赤みや痛みが出ていないうちはそれほど心配することはありませんが、お手入れ方法によっては悪化することもあるので気をつけましょう。

毛嚢炎になってしまったらクリニックで治療を

多くの肌トラブルは原因が複雑で、自分では対処が難しい面もあります。毛嚢炎のことをよく知らないと、どうやってケアしたらよいのか迷いますが、基本はニキビと同じように患部を清潔にするのが一番の予防・対策になります。

ただ、お肌をきちんとケアしていてもニキビが出来てしまうのと同じように、なぜか毛嚢炎にかかりやすい人もいます。そのときはクリニックを訪れてきちんと治療をしましょう。

毛嚢炎のある肌のお手入れと治療方法

毛嚢炎は程度がひどくなければ自然に治ると言われていますが、広範囲にブツブツが広がって増えてきた場合や、痛みや痒みがある場合はできるだけ早めに受診してください。

毛嚢炎に有効な薬は、抗真菌薬やステロイドの軟膏、抗生物質の飲み薬などいくつかあり、肌の状態によって、または治療段階に応じて医師が適切なものを処方してくれます。

クリニックで脱毛した場合は、経過を診て必要ならば薬を処方してくれるアフターフォローが受けられるので、ぜひ活用しましょう。湿疹などができやすい肌質で心配な人は、脱毛前にあらかじめ相談をしておくと、日常的なお手入れ方法のアドバイスがもらえたり、肌質に合った塗り薬を処方してくれたりすることもあります。

自宅でも引き続き患部を清潔に保ってください。プツプツを無理に潰すと膿んでしまうこともあるので、余計な刺激を与えないように気をつけることも大切です。

毛嚢炎にはステロイドの塗りすぎは逆効果?

毛嚢炎の治療には、湿疹や炎症を抑えるために副腎皮質ステロイド剤を用いることがあります。その一方で、塗りすぎると毛嚢炎を悪化させてしまうことがあるとも言われます。これは、ステロイドに肌の免疫を抑える作用があり、過剰に使うと雑菌に感染しやすくなる恐れがあるためです。

クリニックでは、医師がこうした薬のリスクもふまえて治療を行っているので問題ありません。処方されたものを自分で使うときは、必ず決められた用法・用量に従うことが大事です。

毛嚢炎を防ぐための正しい肌ケア方法

毛嚢炎を防ぐためのケアは特別なことではなく、肌を健やかに保つ方法と基本的には同じです。正しい洗浄・保湿・日焼け止めなどが大切です。

脱毛後の肌は、いつもより、清潔に保つことと保湿することに重点をおいて、バリア機能が低下した肌に雑菌が侵入するのを防ぎます。クリニックで軟膏やクリームが処方された場合は、それをつけて肌を保護します。

洗い方には気をつけよう

患部は清潔にしなければなりませんが、気を付けてほしいのは洗い方です。とくに脱毛直後の肌はとても敏感になっているので、洗いすぎはよくありません。洗うときは極力やさしく手洗いします。脱毛直後は石鹸やボディソープなどの洗浄剤も控えたほうがいいですが、使う場合は肌に合ったマイルドなタイプを選び、しっかりと泡立ててクッションをつくって、肌を直接こすらないようにします。もちろん、スポンジやタオルでのゴシゴシ洗いは禁物です。

ムダ毛処理の注意点

レーザー脱毛を一度照射すると、次の施術までに数ヶ月の間隔があきます。その間はムダ毛を自己処理することになるかと思います。方法としては毛抜きよりシェービング、手動カミソリより電動シェーバーがおすすめです。もし手動カミソリを使う場合でも、刃をこまめに変えて毛の流れにそって優しく剃りましょう。毛の流れに逆らったほうが根元から剃毛できますが、これをやるとすぐに肌が痛んで毛嚢炎の原因になりかねません。

また、脱毛中は紫外線対策・UVケアにも力を入れてください。低刺激の日焼け止めを塗り、日傘、帽子などを活用しましょう。こうしたお肌の手入れをすることで脱毛効果も高まりますので、がんばって続けてくださいね。

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