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毛周期の話
脱毛の効果を知るには、脱毛をする「毛」について、また脱毛する治療法について知る必要があります。毛には毛周期(ヘアサイクル)があります。今、肌の表面に見える毛は、成長期と退行期の毛です。皮膚の下には、休止期の毛が控えています。表面に見えている毛は例えるなら、「氷山の一角」で、その3倍もの毛根が皮膚の下に隠れていると言われています。毛周期の各期間について、もう少し詳しく説明しましょう。
【成長期】
細胞分裂が盛んに起こっている状態です。毛乳頭から新しい毛が生え、毎日毛が伸びています。
【退行期】
細胞分裂が終わり、毛穴が収縮していきます。
【休止期】
毛穴はさらに小さくなり、やがて毛は抜けていきます。毛乳頭が毛穴の中にでき、成長期に入る準備が始まります。
この毛周期は毛が生える場所で異なり、髪の毛では成長期が2~6年ほどと長くなっています。それに対し、眉毛は成長の早い毛で成長期の期間は4~8週間ほどです。4~5か月ですべての眉毛が生え変わると言われています。
脱毛で人気のある部位というのは、それだけむだ毛の気になる部位と言えます。その筆頭ともいえるのが、ワキの毛です。このワキの毛の成長期は4か月ほどと言われています。同じく人気の部位である腕の毛は、約2か月~6か月であると言われています。このように部位によって成長期が異なり、成長期が異なるために脱毛のタイミングや効果を実感する速さも異なってくるのです。
医療レーザーの仕組み
医療レーザーと言っても、その治療範囲はとても広いのです。脱毛に興味がある人であれば、レーザーと聞けば「脱毛でしょ?」と答えるでしょう。クリニックで医療脱毛に携わる私としては、二重丸をあげたいのですが、その答えだけでは医療レーザーの魅力を半分も理解できていないというのが実際のところです。
医療レーザーとは医療現場で使われているレーザーを用いた治療法のことを指し、その分野は外科、皮膚科、眼科、歯科と大変幅広いのです。どの医療分野でもレーザーでの治療が行えるようになったことで、患者さまへの負担を低減することができています。
反対に言えば、レーザーを用いた治療法とは日々進歩し続ける治療法であり、私のクリニックで行う脱毛も昨日よりは今日、今日よりは明日と常に新しい研究報告、治療法を学んでいかなければレーザーの素晴らしさを患者さまへ還元しきれないのです。医療レーザーは、そういった最先端の治療法であることを患者さまにも知ってほしい点であります。
美容皮膚科分野で使われる医療レーザーについて、もう少し詳しく説明していきます。レーザー脱毛では、毛を生み出す細胞「毛母細胞」をレーザーの光線で焼くことで、毛を生み出す部分をなくしていきます。レーザーの照射は一瞬で、短時間で広範囲の脱毛ができることがメリットです。レーザーの光は色が濃い部分=毛にしか反応しませんが、皮膚の上からレーザーを当てるため、出力が強い(光が強い)とやけどの原因となり、反対に出力が弱い(光が弱い)と毛が減らないのです。
レーザーにより脱毛できるのは現在皮膚表面にでている「成長期」「退行期」の毛です。まだ皮膚表面に出ていない「休止期」の毛には効果がないため、休止期の毛が成長期に入ったタイミングで照射を繰り返す必要があります。
出力レベルについて、医療脱毛にあまり詳しくない、治療実績が少ないといったクリニックやドクターで脱毛を受けたことがある患者さまがお越しになられますが、そういった方はやけどや効果についてご不満を持たれる方が多いです。私は長年、脱毛の治療、研究・研鑽を積んできたため、患者さまとお会いしカウンセリングをすれば、どれくらいの出力レベルが安全で最も効果が出るのかがわかります。
実際に効果が出始めるのはいつ頃か
以上のことを踏まえ、医療レーザーによる脱毛の効果を実感できるタイミングは現在生えている毛(成長期・退行期)が抜けるタイミングか次のサイクルで生えてこなくなるタイミングである、と言えます。
ワキや腕の毛であれば、3~4か月目くらいです。この時期にレーザーを当てた毛が生えてこなくなるので、むだ毛の減りを実感できます。そうは言っても、休止期の毛が成長期に入り顔を出し始めるので、まだむだ毛があると感じるでしょう。1回目よりも2回目、2回目よりも3回目と回数を重ねることでむだ毛の数は減っていくので、レーザーを当てる回数もとても大切になります。
全身すべての毛母細胞をなくしてしまいたい!という完璧主義の方は8~10回ほど照射を受ける必要がありますが、むだ毛がほぼ見えなくなる・気にならなくなるというタイミングであれば5回ほどで十分です。2か月毎の照射で10回ならば18か月=1年と半年です。5回であれば8か月です。
脱毛効果には時間がかかると思い早めに始めるのが吉
脱毛効果を実感できるのも2~4か月目なら、次のむだ毛が気になるのも2~4か月目です。
このむだ毛が気になるタイミングにしか医療レーザー治療は行えません。単純に当てれば当てるほど、むだ毛が減っていくのであれば期間を開かずに照射をしてしまえばいいでしょう。
しかし、実際は毛が生えているときにのみ照射をしなければ意味がないのです。永久脱毛をしたいのであれば、先ほども触れたように1年程度の歳月が必要です。医療レーザーはむだ毛を広範囲に短時間でなくすことができる夢のような治療法ですが、気にならなくなるレベルまでの効果となると時間が必要です。
薄着の季節までにむだ毛を何とかしたいのであれば、冬のタイミングで始めるべきです。4月になってから始めても、脱毛効果は実感しつつもむだ毛が気になるタイミングで夏になってしまうため、「思っていた結果と違う」ということになりかねません。
冬に始めていると、目安である5回目の照射をして、生えている毛が抜けたタイミングで夏を迎えることができます。
結婚式を控えて脱毛を考えている人も、式直前ではなく、式場を決めるタイミングで脱毛を始めれば、式当日にはむだ毛は大幅に減っているでしょう。
何事も始めるタイミングが大切です。
また、施術者の立場から言うと、顔脱毛のレーザーの波長では処理できない毛があった場合は、IPLに切り替えて処理するケースもあります。レーザーとIPLの波長、照射時間の違いからくる熱の伝わり方の違いを利用したほうが、より細い毛に効果を出せることもあるからです。
レーザーの波長が長いものに変えたり出力を強めたりすると、施術中の痛みが増す傾向にあります。そのため脱毛部位や肌の状態によっては、同時施術による負担や痛みが心配なときもあるかもしれません。もし痛みが心配であれば、麻酔を使って対処する方法も選択できます。いずれにしても不安を感じたら、医師や看護師に早めに相談してください。
脱毛についていえば、今より早いタイミングはなく、できるだけ早めに始めることをおすすめします。